物語牧場

映画やゲーム、漫画の感想なんかを載せていきます。

OK!もう一回!もう一回だけ説明するね スパイダーバースは大!大!大!大傑作なんだよぉぉぉ!!

 


 公開から約一か月経とうとしている中、今更ながらの感想です。

 

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監督 ボブ・ペルシケッティピーター・ラムジーロドニー・ロスマン 脚本 フィル・ロード 出演者 シャメイク・ムーアジェイク・ジョンソンヘイリー・スタインフェルドブライアン・タイリー・ヘンリーリーヴ・シュレイバーリリー・トムリンマハーシャラ・

 評判以上、期待以上の出来栄え。公開から間もなくありとあらゆるメディアで紹介されており、第91回アカデミー賞の長編アニメーション賞を始め、数々の賞を受賞しています。こんなネットの場末にあるようなブログで紹介するまでもない大傑作なのは言うまでもないのです。 

 しかし、個人的に年間ベストなのでどうしても書きまとめた次第です。

 

 ざっくりとしたあらすじを紹介。

 アフリカ系の父とヒスパニック系の母を持つニューヨークの少年、マイルス・モラレスは、偶然スパイダーマンの能力を手に入れる。しかし、その能力はなかなかコントロールすることができない。
 そんな中、何者かによって時空が歪めらるという事件が発生。そこでスパイダーマンであるピーター・パーカーは死んでしまう。
 一方次元が歪められた影響で、異なる次元(マルチバース)で活躍するさまざまなスパイダーマンたちがマイルスの世界に集まってきてしまう。異なる次元が出身の彼らはマイルスの次元には長くいることができない存在であった。元の次元に戻るためにも、事件の元凶であるキングピンを追いつめる必要がある。マイルスは別次元のスパイダーマンである、ピーター・B・パーカーに弟子入りをし修業を始める。果たして、マイルスは仲間を元の次元に返せるのか、ニューヨークの平和はどうなるのか!!

 つまりは、正しく王道のヒーロー誕生譚である。

 何度となく見てきたヒーローのオリジンもの。王道故に、余ほどのことがない限り失敗するリスクの少ない明快なストーリーは、ほぼ万人に受け入れられると思われる。 

 しかし、本作が評価されたのはストーリーの明快さのみではない。まずは予告を...

 

youtu.be

  CGアニメーションだが、ストップモーションアニメのようであり、独特の色彩表現は立体的な空間演出と抜群の相性を示している。見たことのない映像の数々は、どのシーンを見ても楽しいと素直に思える。

 アメコミの映像化といえば、MCU作品を初めとする実写作品が代表的だが、人間が演じる以上CG表現と生身アクションの融合にならざるを得ない。勿論これがイヤなんてことはない。というか、もはや良い悪いではなく、こういう物なんだと。そこで現れたのが『スパイダーバース』だった。

 

 序盤にあるスパイダー能力に目覚めたばかりの主人公”マイルス君”があたふたするスラップコメディシーンは、まさしくドタバタコメディが繰り広げられる。マイルス君が壁に張り付いて剥がれられなくなる→やっと剥がれたらと思ったら今度は逆向きに壁に張り付いてしまう。以下数ループ...文字にすると何が何やらという感じだが、張り付いて剥がれて、また張り付くというアクションがコミックのコマのように一枚の画として表現される。このシーンのスピード感が、まるで自分がコミックを読んでいるかのようなスピード感なのだ。

 スパイダーマンの能力の一つに”スパイダーセンス”というのがある。簡単にいうと、物凄く発達した第六感である。これまでの映像作品においてはスローモーション演出などでこれを表現していた。今作では”何かを感じている波線”がキャラクターの頭上に現れる。この漫譜も非常グラフィカルに描かれている。

 他にも、キャラクターの影の部分に黒い斜線の効果が入っている。アクションシーンのキメにあたる部分では、黄色やピンクなどの派手な色使いを用いた線画が差し込まれたり、均一ではないキャラの輪郭線など、本作では「これは絵である。」という主張を打ち出している。

 中盤以降、異なる次元のスパイダーマンたちが登場すると、更に画風の幅が広がる。

 スパイダーノワールはモノクロ調で、ロボットの「SP//dr」を扱う少女ペニー・パーカーは日本のアニメ調で、スパイダーハムはカートゥン調で、と異なる表現技術が一枚の画に共存している。こんな離れ業ができて、かつ破綻していないのは、本作が作り上げた下地ともいえるマイルスの次元が非常にグラフィカルに描かれているからだと思われる。

 

 そんな映像の数々は登場キャラクターの存在感を、より一層忘れ難いものに仕上げている。

 

 まずは主人公のマイルス・モラレス君。いつものスパイダーマンにない、彼だけの能力を持っている。彼と家族との微妙な距離感は既視感を覚えた。すごく親しみやすく、まさに『あなたの良き隣人』を体現している。 

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本作の主人公。どこにでもいる普通の男の子として描かれている。とにかく可愛い、突如発現したスパイダー能力も思春期という言葉で片づけてみたり、敵施設の中で唄を歌ったりと、結構無茶な子。しかし、彼もまた”スパイダーマン”なのだ。それ故に、耐えがたい物を失うという悲劇を味わうことに...

  

 

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黒と赤のスパイダースーツって......カッコイイに決まってんじゃん。このスーツが出てくるタイミングも最高っす

 続いてはご存知ピータ・パーカー。今回はいつもの悩み多き青年ではなく、ちょいとダメな中年という役どころ。一番推せるキャラ。

 

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こちらは別次元のピーター・パーカー氏。マイルスの次元のピーターの死後、こちらの次元に迷い込んでしまった。元の次元では色々と失敗をしてしまい、やさぐれて激太りをしてしまっている。

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しかし彼もまたスパイダーマンである。成すべき使命を果たすべく戦いに赴く。また、未熟なマイルスの師匠として彼を鍛えるという良き兄貴分である。


 ヒロインのグウェンちゃん。アメコミファンには言わずと知れた悲劇のヒロイン。

 今回はスパイダーマンの一員として参戦。

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まさにクール&ビューティー!!必ず死んでしまうで有名なスパイダーマンシリーズのヒロイン。別次元ではスパイダーマンとして活躍していた。物語が始まる少し前にこちらの次元に迷い込んでいた模様。マイルスとは同じ私立中学校に通う同級生という間柄。

 

 

 モノクロの次元からやって来たハードボイルドなスパイダー・ノワールさん。トレンチコートが印象的。自分の次元にはないカラフルなルービックキューブを弄るという、キュートな一面も持つ。

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渋い!!今作のおじんキャラ。カラフルな色彩に囲まれた本作の世界観において、終始モノクロの男として描かれる。

 

本作におけるメカニック担当のペニー・パーカーちゃん。彼女が操るSP//drはベイ・マックスを連想してしまうが、これもスパイダースーツの一つの模様。アイアンマンのようなパワードスーツようなものである。

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相棒兼スーツのSP//drは感情表現のできる優れもの。彼女は日本の萌えアニメ風のデザインとして描かれている。

 最後はマスコット担当?のスパイダーハム君。彼の経緯は放射能を帯びた豚に噛まれたクモという、なかなかトリッキーな事情を持つ。ウェブスイングといったお馴染のアクションも難なくこなす彼は、紛れもなくスパイダーマン?なのだ......なのか?(笑)

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カートゥンキャラを連想させるお茶目なブタさん。懐から取り出すハンマーは、トムとジェリーのようである。


 まだまだ『スパイダーバース』には魅力的なキャラクターがたくさん登場する。

 歴代最強なんじゃないかと思われるメイおばさんや、愛情故にぎくしゃくした関係になってしまったマイルスの両親、マイルスが一番慕うアーロンおじさんなどなど。それぞれがお話の中で役割を果たしきっており、特にマイルスと父親がドア越しに向き合うシーンは名シーンである。
 

  また、吹き替え版の声優陣の演技が最高に素晴らしかった。特にピーターBパーカーを演じられた宮野真守さん。もはや、お家芸とも云えるおふざけ演技の数々は、本作でも健在であり、劇中のお笑いどころの殆どを担っているといっても過言ではない。

 宮野真守宮野真守しているといって伝わるだろうか?キャラとの実年齢が近いとのことで、シンクロ率高めなのも良かった。カッコ良くて、でもダメなおっさんという雰囲気が素晴らしかった。

 

 またエンドロール後には続編を匂わせるシーンが挿入されており、そこもまた爆笑シーンとなっている。

 続編やってくんねーかな~是非やってほしい。

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 本作の原案となったコミックです。今ならお買い得価格!!

 みんな大好きな”あのスパイダーマン”も登場

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読んだかね?みんな大好き地獄の使者さんッ!!!

 サントラも印象的な良曲が多かったです。特に2曲目に収録されているサンフラワーは、作中でマイルスによって歌われるのですが、屈指の爆笑シーンになっているので注目です。

 

 何度も何度も繰り返し観たいなと思える大好きな一作です。ソフト版が発売したら必ず購入します。