物語牧場

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呪われた愛の物語READING HIGH「Chevre Note シェーヴルノート Story from Jeanne d'Arc(ジャンヌ・ダルク」感想


こんにちは島田です。

先週末1/12に行われた シェーヴルノートという朗読劇を鑑賞してきましたので、その感想です。

アニメのイベント等で朗読を楽しんだことはありましたが、全編朗読というのは初めての体験だったので、声優の方々の演技や、劇の演出、音楽等の要素が美しく融合した空間というのは新鮮であり、ストーリーの切なさも相まって終始感動しっぱなしの時間を過ごせました。とても良い体験になりました。今回は簡単な感想を書いていきます。また、今回の朗読劇はソフト化もされるとのことなので、ネタバレはできる限り避けようと思います。

 

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■原作・脚本・演出:藤沢文翁音楽監督:村中俊之 ■キャスト:中村悠一(ジル・ド・レ) 梶裕貴(アランソン公) 沢城みゆきジャンヌ・ダルク梅原裕一郎(ラ・イル) 津田健次郎(シャルル7世) 諏訪部順一(リッシュモン大元帥大塚明夫グラシャ=ラボラス

 

 

あらすじはこんな感じ。

1440年9月15日フランス中がある男の裁判に釘付けとなっていた。彼はフランス屈指の名門の家柄にしてジャンヌ・ダルク軍に属し、フランスを勝利へと導いた最大の功労者しかし、ジャンヌ・ダルクイングランド軍に捕縛され火炙りの刑に処せられると、正気を失い、悪魔と契約したとされている。男の名はジル・ド・レ今、世界で最も呪われた愛の物語が幕をあける……

 

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お土産に台本とプレイボタンを購入。プレイボタンは初日昼公演の模様が全編収録されています。通販で購入できるようです。


 歴史上に現れた”英雄”と称えられる人間は数多くの伝説を残している。しかし、その伝説を正しく観測してきた人物はいないだろう。過去に目を向け、あらゆる可能性を夢想することは豊かな体験であり、故に歴史にはロマンがある。というのは昔読んだ本に書いてあった言葉である。

 今作は百年戦争の時代に、フランスに現れた聖女ジャンヌ・ダルクの伝説が作られた、偽りのものであったらという。所謂、”歴史上の人物たちは実はこんな人でした”とでもいうか、陰謀論のようなものでもある。と私は思った。


 救国の為の象徴としてジャンヌ・ダルクを作り上げ、国王として君臨した後に彼女を見殺しにしたシャルル7世と、その腹心のリッシュモンド元帥の謀略。

 ジャンヌの戦友として戦場を駆け抜けたジル・ドレと、その仲間達の青春の模様。

 彼女の死後、悪魔と契約し、ジャンヌ復活の為に魔法を行使する対価として、自らの”忘れ難き記憶”の数々を犠牲にしながら奮戦するジルの姿が、時系列を入り交じえながら描かれる。史実で語られるジル・ドレとはまったく違う、不器用で優しい男の、犠牲に満ちた物語はただただ悲しく、そして感動的でした。

 

 

 そんなジルを演じたのは中村悠一さん!!私も大ファンであり、今作を鑑賞しようと思ったきっかけでもあります。今作では『騎士としてのジル』『廃人と化したジル』『徐々に記憶を失っていくジル』などを瞬時に演じ分けておられました。会場で観劇できたことを幸運におもいました。

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今作では2幕以降魔法の詠唱シーンが多くあり、中2病感満載な呪文の数々はきっとノリノリだったに違いないと妄想

 始めはただの詐欺師にすぎない少女だったが、救国の聖女として祭り上げられるも、自らの嘘に命を懸け兵士を鼓舞する姿はジルを初め仲間達の気持ちを動かしていく。やがて英雄になるも、最後は悲劇の末路を迎えてしまうジャンヌを演じたのは沢城みゆきさん!!

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詐欺師の少女として悪態をついていたと思えば、次の瞬間には聖女として神の御言葉を告げる。こちらの演じわけも圧巻でした。

 ジルの親友として共に戦場を駆け、後に訪れたジルの裁判では彼の無実を主張し続けるも、やがて悲劇的な運命に対峙することになるアランソン公を演じたのは梶裕貴さん!!

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梶さんの叫び演技がある作品に外れナシ!!と提唱し続けていたのですが、今作においても叫びはあり、そのシーンは今作必見の場面であります。

 序盤から暗躍し、ジャンヌ・ダルクを作り上げた諜報人であるリッシュモンド元帥を演じたのは諏訪部純一さん!!
 

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リッシュモンドの心情は、中盤以降に静から動に切り替わる瞬間があります。その瞬間をこの目で目撃できたいへん幸福でありました。

 戦場を知らず宮殿に籠り続け、ジャンヌを利用し王に成るや、彼女を見殺しにしたことから、ジルと対立することになるシャルル7世を演じたのは津田健次郎さん!!

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序盤から人を食ったような言動をかまし、あーこの野郎いつかバチがあたるなと願わずにはいられない位嫌味な演技で魅了されました。いやーしかし生で拝見するとイケメンでしたわー

 ジルの忠実な部下であり、平時の紳士然とした言動からは想像もつかない程に、戦場では荒れた言動が目立つラ・イルを演じたのは梅原祐一郎さん!!

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終盤のとあるシーンでは梅原さんの演技に泣かされました。正直、展開事態は「べただなー」なんて思ったりはしてしまうのですが、悲痛な演技というかそれまで抑制されていたものが、一気に表層化する瞬間は名シーンでした。

 そして最後は、ジルと契約し、彼の『忘れ難き記憶』を対価に魔法を貸す悪魔グラシャ・ラボラスを演じたのは・・・大塚明夫さん!!!!スネーークやっほい

 

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声に宿る圧倒的ラスボス感!もう唯一無二ですね。今作ではコミカルな面も演じられており、どこかマスコット感すら感じてしました。いや、恐いキャラなんですけどね。大塚さんならではだと思います。

 鑑賞後は、自分なら今作のジルのように『忘れ難い記憶』を売ってでも叶えたい願い、なんてあるかななんて思ってしました。ジルがジャンヌに見出していた希望というのは計り知れないものだったんですね。

 

 また、今作では音楽が生演奏で鑑賞でき、その豪華さに感動しました。シーンごとにぴったりの音楽が流れ、プレイボタンで繰り返しなんども聴いています。特にオープニングと幕の切り替え時の局はボーカル曲なのですが、女性の高音とギターサウンドが高揚感を上げてくれます。YouTube視聴できる今作のPVでも使用されている音楽になりますので興味を持たれた方は是非!!

www.youtube.com

 

 

まだまだ書きたいことは沢山あるのですが(ストーリーのネタバレ感想や衣装、豪華な舞台装置や特殊効果など)そちらはソフト購入後にでも、また感想を書けたらいいなと思います。では